社内会議の議事録の書き方|必須9項目・5つのコツ・会議別の注意点
社内会議が終わり、パソコンの前に戻ってきました。会議の中身はまだ頭に残っています。あとは書くだけのはずでした。
ただ、いざ書き始めると手が止まります。
- 社内会議の議事録に何を書けばよいのか、必須項目がはっきりしない
- 書き上げた議事録が長すぎて「読まれない」と言われてしまう
- 役員が出る会議や委員会の記録も回ってきたが、定例と同じ書き方でよいのか分からない
そのためこの記事では、社内会議の議事録で押さえたい9つの基本項目、読まれる形にする5つのコツ、会議前・会議中・会議後の手順、会議の種類ごとの注意点を順に整理します。「何を書けばよいかを整理したい」とお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
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社内会議の議事録は何のために書くのか
議事録は、書いた本人のためではなく、読む人のために作る文書です。何のために書くのかが決まると、何を書くかの迷いはかなり減ります。
議事録とは会議の内容を共有できる形に残したもの
議事録とは、会議で話し合った内容・決まったこと・次にやることを、後から誰でも確認できる形に残した記録です。社内では、週次の定例会議や部門会議、プロジェクト会議などで作られます。
会議内容をそのまま写した「コピー」とは違います。チーム内やプロジェクト内の情報共有を早くし、決まったことをはっきりさせ、業務を前に進めるための道具です。会議に出られなかったメンバーへの共有ひとつを取っても、口頭で伝えると内容が少しずつ変わります。書面に残せば、誰が読んでも同じ情報が届きます。
社内会議の議事録は、社内メンバーが読むことを前提に、必要な情報を素早く確認できる構成にします。クライアントや取引先へ共有する議事録とは、記載する内容や文体を分けて考えましょう。
社内会議の議事録に求められる3つの目的
議事録を作る目的は、大きく3つに整理できます。この3つを頭に置いておくと、「何を書くべきか」の判断基準がはっきりします。
情報の共有と認識合わせ
社内会議に全員が出席できるとは限りません。出席できなかったメンバーや、関係する他部門の担当者へ情報を正確に届けることが、議事録の第一の役割です。「会議に出ていたはずなのに、あとから思い出せない」という場面でも、議事録が記憶を補ってくれます。部門をまたぐプロジェクトでは、議事録の質がそのまま進行速度に響くこともあります。
決定事項の明確化と「言った言わない」の防止
「あのとき、〇〇さんが承認したはず」「そんな話は聞いていない」。この行き違いは、どの組織でも起こります。口頭だけの確認では、時間が経つほど記憶が薄れ、認識のずれが生まれやすくなります。決定事項を文書で残せば、何が決まったのかが明確になり、責任の所在も記録に残ります。
原因は記憶の曖昧さだけとは限りません。記録の細かさや、共有までにかかった時間も効いてきます。なぜ行き違いが起きるのかを掘り下げたい方は、「言った言わない」が起きる5つの原因をまとめた記事もあわせてご覧ください。
タスクとプロジェクトの進行管理
誰が・何を・いつまでに行うかをネクストアクションとして記録しておくと、次回の会議で進捗を確認しやすくなります。「前回の会議で何を決めたんだっけ」とゼロから確認する手間が消えるため、会議そのものの質も上がります。複数のプロジェクトが同時に動いているチームほど、この効果は大きくなります。
「記録」から「共通認識をつくるもの」へ
議事録は、記録を残すだけでなく、参加者の認識をそろえるためにも役立ちます。会議に参加した人が同じ認識を持てる状態をつくることも、議事録の重要な役割の一つです。
「どうしてあの人はわかっていないんだろう」という不信感の多くは、認識のずれから生まれます。リモートワークが広がって対面のやり取りが減り、細かなニュアンスは以前より伝わりにくくなりました。ずれは、放っておけば大きくなります。
議事録で共通認識ができると、組織には3つの変化が起きます。
- 手戻りが減る:同じ認識のもとで動けるため、確認とやり直しの往復が減る
- 決めるのが速くなる:「前回何を決めたか」を思い出す時間が要らなくなる
- 課題が見えるようになる:誰がどこで詰まっているかが明確になり、チームとして手を打てる
議事録を単なる面倒な作業ではなく、共通認識をつくるための手段と捉えると、何を残すべきかを判断しやすくなります。
では、その共通認識をつくるために何を書けばよいのでしょうか。一般的な社内会議では、会議名・開催日時・開催場所・参加者と欠席者・議事録作成者・議題・決定事項・ネクストアクション・特記事項と次回会議予定の9項目を基本にすると整理しやすくなります。
ただし、会議の目的や社内ルールによって必要な項目は変わります。取締役会や株主総会など、法令で記載事項が定められている会議では、法定事項を優先して記載してください。
社内会議の議事録で押さえたい9つの基本項目
何を書けばいいか迷ったときに立ち返れるよう、基本として押さえたい9つの項目を先に一覧にします。会議中のメモも、この9つを埋めるつもりで取ると迷いが減ります。
| # | 項目 | 書く内容 |
|---|---|---|
| 1 | 会議名 | 「週次チームミーティング」「第3回プロジェクト定例会」など、種類と回数がわかる名前 |
| 2 | 開催日時 | 年月日・曜日・開始時刻と終了時刻 |
| 3 | 開催場所 | 会議室名。オンラインなら「オンライン(Zoom)」などツール名も |
| 4 | 参加者・欠席者 | 氏名に部署・役職を添える。参加予定で不在だった人も明記 |
| 5 | 議事録作成者 | 誰が作成したか |
| 6 | 議題 | その会議で話し合うテーマ |
| 7 | 決定事項 | 議題に対して会議で出た結論 |
| 8 | ネクストアクション | 担当者・内容・期限の3点セット |
| 9 | 特記事項・次回会議予定 | 保留事項、次回の日時と議題の見通し |
基本情報は後から探すための索引になる
1から5までの基本情報は、議事録の冒頭にまとめて置きます。地味な項目ですが、後から効いてきます。
これらが重要なのは、「あの会議はいつ、誰が参加して何を決めたのか」を確認するときに、基本情報が索引として働くからです。特に参加者の記録は、「あの決定に自分は関わっていなかった」「承認者が誰だったかわからない」という混乱を防ぐ根拠になります。
数週間前の会議を振り返りたいとき、基本情報が正確なら目当ての議事録はすぐ見つかります。逆に、なんとなく付けた会議名と曖昧な日付の議事録は、後から探しにくく、そのまま埋もれます。
議題と決定事項は必ず書き分ける
議事録の中核です。「議題」と「決定事項」は別のものなので、はっきり分けて書きます。
- 議題(アジェンダ):その会議で話し合うテーマ。「新製品の価格設定について」「Q3のマーケティング計画について」など
- 決定事項:議題に対して会議の中で出た結論。「〇月〇日にXXXの価格を〇万円に設定することを決定した」など
決定事項こそが、議事録で最も重要な要素です。何が決まったのかが読み取れない議事録は、読んでも何も確認できない状態になります。
注意したいのは、「議論の内容」と「決定事項」の混同です。議論の中では「A案がよいという意見もあった」「B案も検討の余地がある」など、さまざまな声が交わされます。これをすべて決定事項として書くと、結論が埋もれます。会議の場で合意した結論だけを決定事項として書き、そこに至る過程の意見は「討議内容」として分けて残しましょう。
ネクストアクションは3点セットで書く
議事録の中でも、特に丁寧に書いてほしい項目です。決定事項が「何が決まったか」を示すのに対し、ネクストアクションは「その後、誰が何をするか」を示します。
書くときは、次の3点を必ずセットにしてください。
- 担当者:誰が担当するのか(個人名または役職名)
- 内容:何をするのか(具体的な行動)
- 期限:いつまでに完了させるのか(具体的な日付)
記載例を示すと、次のような形になります。
| 担当者 | 内容 | 期限 |
|---|---|---|
| 田中(営業部) | 価格改定の社内稟議書の作成 | 3月5日(水)まで |
| 佐藤(マーケ部) | 新価格の顧客向け告知メール文面の草案作成 | 3月7日(金)まで |
担当者と期限が抜けたアクションは、「誰かがやるだろう」の状態に落ちます。次回会議で「これ、誰がやる予定でしたっけ」という確認が起きるのは、たいていここの書き方が曖昧だったからです。
会議で「〇〇について検討しましょう」という結論になった場合も、「誰が・いつまでに・何を検討するのか」を書いておきましょう。検討することと、決めることは違います。次のアクションが発生している事実を、記録として残してください。
特記事項と次回会議予定で次につなぐ
特記事項とは、議論の中で出てきた重要な意見、質疑応答の内容、次回に持ち越された保留事項などを指します。決定事項にはならなかったものの、後から確認が必要になりうる情報を置く場所です。「〇〇の件は次回会議で改めて議論する」「△△について追加調査が必要」といった内容を書いておくと、次回の議題設定が楽になります。
次回会議予定には、日時・場所(またはオンラインのリンク)・主な議題の見通しを書きます。参加者が事前に準備しやすくなります。
そのまま使える議事録テンプレート
9つの項目を並べたひな形を用意しておくと、毎回の作成がぐっと軽くなります。以下をコピーして使ってください。
【会議名】
【開催日時】〇年〇月〇日(〇)〇〇:〇〇〜〇〇:〇〇
【開催場所】
【参加者】
【欠席者】
【議事録作成者】
【議題】
【決定事項】
・
【ネクストアクション】
担当者・内容・期限
【特記事項・保留事項】
・
【次回会議予定】
日時:〇年〇月〇日(〇)〇〇:〇〇〜
場所:
議題の見通し:
このひな形を会議のたびに使い回せば、毎回ゼロから構成を考える手間がなくなり、書き漏れも防げます。悪い書き方と良い書き方を見本で比べたいときは、議事録全般の書き方と例文をまとめた記事が近道です。
会議の種類が変わると、議事録の書き方も変わる?
一般的な社内会議では9項目を基本にできますが、会議の種類によって追加・変更すべき項目があります。特に法令や社内規程で記録要件が定められている会議では、その要件を優先します。
もうひとつ、書き方を左右するものがあります。議事録を作る動機は、時間の削減だけとは限りません。Otolioの商談では、上場の準備を進めている企業から「主要な会議体の議事録を残すこと」が準備項目に入っている、という話が出てきます。残すこと自体が決まっている会議では、書くかどうかを選ぶ余地がそもそもありません。
9項目を基本にする会議と、個別のルールを確認する会議
同じ会社の中でも、議事録に求められる細かさは会議によって異なります。Otolioの商談でも、発言を詳しく残したい会議がある一方、決定事項だけで十分な会議もあるという声がありました。どちらが正しいということではなく、会議の性質に応じて必要な記録の細かさが変わります。
- 9項目を基本に整理しやすい会議:部門の定例会議、プロジェクト定例、社内の打ち合わせ
- 法令で記載・記録方法などが定められている会議:取締役会、株主総会、衛生委員会
- 労働協約や社内規程などに沿って記録する会議:労使協議会、経営会議
この違いを押さえると、必要以上に詳しく書く負担や、必要な情報が見つからない読みづらさを減らせます。判断に迷ったら、「この記録を後で読むのは誰で、その人は何を確認したいのか」を考えてみてください。読む人が決まれば、細かさも決まります。会議ごとにひな形を分ける手順は、会議別の議事録フォーマットの作り方にまとめています。
法律が記載事項を定めている会議
取締役会と株主総会は、一般的な9項目だけでは足りません。会社法と会社法施行規則で、議事録の作成や記載事項などが定められているためです。
取締役会では、議事の経過の要領とその結果に加えて、特別の利害関係を持つ取締役の氏名などが条文で求められます。署名や押印の扱い、保管する年数にも決まりがあるため、取締役会議事録の記載例を見ながら埋めるのが確実です。
株主総会も、会社法と会社法施行規則に基づいて議事録を作成します。会社法・会社法施行規則では、株主総会議事録への署名や記名押印は原則として求められていません。
一方、議事録は株主総会の日から10年間、本店に備え置く必要があります。取締役会議事録とはルールが異なるため、両方を「法定の議事録」とひとくくりにせず確認しましょう。
定時株主総会や特別決議の書き方は、株主総会議事録の必須記載事項を扱った記事で確認してください。
開催と記録が決められている会議
会議によっては、議事録の記載事項だけでなく、開催頻度や記録・周知の方法まで法令で定められています。
衛生委員会では、事業者は毎月1回以上開催するようにし、開催の都度、議事の概要を労働者に周知する必要があります。また、委員会の意見や講じた措置の内容、重要な議事に関する事項を記録し、3年間保存しなければなりません。具体的な記録方法は、衛生委員会の議事録に課される義務で確認してください。
労使協議会の開催方法や記録方法は、労働協約や社内の取り決めによって異なります。議事録の作成方法、確認手順、署名・押印の要否なども一律ではないため、自社の労働協約や規程を確認して作成しましょう。具体的な書き方や確認ポイントは、労使協議会の議事録の書き方にまとめています。
意思決定の経緯が後から効く会議
経営会議には、法律が定めた書式はありません。それでも定例会議と同じ細かさでは足りない場面が出てきます。「なぜその結論になったのか」を後から問われるからです。
結果だけを残した議事録は、半年後に読むと「この判断の前提は何だったのか」が分かりません。検討した選択肢と、選ばなかった理由まで残すと、同じ議論のやり直しが減ります。記載する項目とひな形は、経営会議の議事録の書き方で詳しく解説しています。
読まれる議事録にする5つのコツ
基本項目を押さえたら、次は読み手の目線です。作成スピードと読みやすさは、実は同じ方向を向いています。短く書けるものは、たいてい速く書けます。
1. 結論を先に書く
読みやすさを重視する社内会議の議事録では、会議の流れをそのまま時系列で並べると、結論が見つけにくくなることがあります。「最初に〇〇という話があり、次に△△という意見が出て、最終的に◇◇に決まった」という順番だと、読み手は最後まで読まないと結論にたどり着けません。
議事録を読む人がまず確認したいのは、「何が決まったのか」と「自分は何をすればよいのか」です。そのため、一般的な社内会議では、決定事項とネクストアクションを最初に置き、詳細な討議内容を後に続ける「結論ファースト」の構成が役立ちます。
同じ会議内容を、2つの書き方で比べてみましょう。
時系列で書いた場合:
「最初に現在の問題点について田中から報告があった。問題の原因として〇〇が挙げられ、対策として△△と◇◇の2案が提示された。佐藤からは△△案を支持する意見が出たが、木村からは予算面での懸念が示された。最終的に、コストと効果のバランスを考慮し、△△案を採用することになった。」
結論ファーストで書いた場合:
【決定事項】△△案の採用を決定。 【ネクストアクション】田中:△△案の実施計画書を3月10日までに作成。 【討議内容】〇〇を原因とした問題について、△△・◇◇の2案を比較検討。予算面・効果面から△△案が優位と判断。
後者なら、何が決まって誰が動くのかを一目で把握できます。構成を入れ替えただけで、使いやすさがここまで変わります。
2. 箇条書きと「だ・である調」で短くする
社内向けの議事録は、文章を連ねるより箇条書きを中心にしたほうが目に入りやすくなります。簡潔にまとめやすい「だ・である調」がよく使われます。一文が短くなり、全体の分量も締まります。
具体的な指針として、次の点を意識してみてください。
- 一文を長くしすぎず、40〜50字程度を一つの目安にする
- 箇条書きは体言止め(「予算の承認」「スケジュールの確認」など)か短文(「〜を決定」「〜を確認」)でまとめる
- 専門用語や社内略語は初出時に補足を入れる(「KGI(最終的な目標指標)」「POC(概念実証)」など)
補足が必要なのは、議事録が会議に出ていない人にも回るからです。部署をまたぐプロジェクトでは、他部署のメンバーが見慣れない略語で止まります。初出時に一言添えるだけで、誰が読んでも通じる議事録になります。
語尾を変えるときは、文の構造まで見直しましょう。「〜について協議しました」は「〜を協議」で足ります。数文字の削減でも、積み重ねれば全体のテンポが変わってきます。
3. 5W1Hで抜けを防ぐ
5W1H(Who:誰が、What:何を、Why:なぜ、When:いつ、Where:どこで、How:どのように)の観点で情報を並べ直すと、書き漏れを見つけられます。
社内会議の議事録で特に抜けやすいのは、「Who(誰が担当するのか)」と「When(いつまでに)」です。「〇〇の件は引き続き対応する」という一文だけでは、担当者と期限が分からず、次の行動につなげにくくなります。
討議内容を残すときは、「Why(なぜその結論になったのか)」も添えましょう。「B案を採用した」という結果だけでは、後日「なぜB案だったのか」を確認する問い合わせが発生します。「費用対効果でA案より優れているため、B案に決定」の一文があれば、それで済みます。
4. 会議の種類ごとにテンプレートを用意する
即効性が高い対策のひとつが、テンプレートの事前準備です。毎回ゼロから書き出しを考える必要がなくなり、着手のハードルが下がります。
用意するときは、会議の種類別に分けておきましょう。
- 定例会議用:基本情報・前回のネクストアクション確認・今回の議題・決定事項・今回のネクストアクション・次回予定
- プロジェクト会議用:基本情報・進捗状況・課題と対策・決定事項・ネクストアクション・次回予定
- 重要意思決定会議用:基本情報・背景と課題・検討した選択肢・決定事項(理由含む)・ネクストアクション・次回予定
議題を事前に書き込んでおけば、会議が始まる前から議事録の骨格ができた状態になります。会議中は空欄を埋めるだけになり、メモの効率が上がります。
5. 会議後10分以内に着手し、当日中に共有する
議事録は鮮度が命です。会議が終わったあと、できる限り早く手をつけることが、品質と効率の両方に効きます。
10分以内に着手するといっても、その場で仕上げる必要はありません。記憶が鮮明なうちに、メモを見ながら「決定事項・ネクストアクション・特記事項」の3点を箇条書きにします。それだけで十分です。この骨格ができると、その後の清書は驚くほど速く進みます。
逆に、後回しにするほど発言者の特定が難しくなります。「あの発言は田中さんだったか、佐藤さんだったか」を確かめる作業に、余計な時間がかかるからです。
当日中に共有することには、もうひとつ効果があります。記憶が新しいうちに参加者全員が目を通すと、認識のずれを早い段階で直せるのです。翌日以降になると、それぞれの記憶が薄れ、ずれの発見が遅れます。
会議前・会議中・会議後にやること
議事録の品質と速さは、会議が始まる前からかなりの部分が決まっています。3つの時間帯に分けて、それぞれで何をするかを見ていきます。
会議前:アジェンダの確認とテンプレートの準備
会議当日に「さて、何を書こうか」と考え始めるのでは遅すぎます。事前の準備が、メモの効率と議事録の質を左右します。
会議前に行いたいのは、次の4点です。
アジェンダ(議題)の確認
事前に共有されているアジェンダを読み込み、「この会議で何を決めるのか」「誰がどのような役割で発言するのか」を頭に入れます。文脈を持っていると、会議中の発言の重みを判断しやすくなります。
テンプレートの準備
会議名・日時・参加者などの基本情報と、議題の欄を先に埋めておきます。会議が始まった瞬間から書き込める状態になります。
参加者の確認
誰が参加するかを事前に把握しておきましょう。オンライン会議では名前が表示されないこともあるため、この確認が効きます。
会議のゴールの把握
「この会議で何を決めれば終わりなのか」を逆算します。ゴールが明確だと、どの発言が決定事項になりうるかを自然と聞き分けられるようになります。
会議中:記録する内容を絞ってメモする
会議中に集中できなくなる主な理由は、発言を聞き逃さないようメモを取り続けることです。全文を書き取るのではなく、後から確認するための情報だけを残す意識に切り替えましょう。
この構造は、記録を任される人に共通して起きます。Otolioが実施した250件以上の導入企業アンケートでも、「経営会議や役員会議で発言録をほぼ1人が担っており、そもそも会議に参加できていない」「会議中はメモに集中するため、議論への参加が浅くなる」という声が繰り返し挙がっていました。議事録担当になると発言機会が減るという悩みは、個人の要領で片づく話とは言えません。
そこで大切なのが、発言をすべて書き起こそうとしないことです。「誰が・何を・いつまでに」の3点に絞れば、記録の負担は大きく軽くなります。会議中の手の動かし方は、次の4つで足ります。
タイミングだけを短く記録する
大事だと感じた発言があったとき、内容を全部書こうとせず「年末対応の話→重要」と数文字だけ残します。この短い一行が、後から該当箇所を思い出す鍵になります。要点に発言時刻が付くツールを使っている場合は、その時刻から該当箇所の音声を確認できます。
発言者を記号で略記する
「田中→T」「佐藤→S」「鈴木→Su」と決めておくと、リアルタイムの記録が格段に速くなります。手が追いつかない場面でも、発言者の記号だけは残しておきましょう。
疑問点は「?」で印をつける
「あの発言は誰だったか」「〇〇の詳細は要確認」といった引っかかりを都度メモしておくと、会議後にまとめて確認できます。
完璧に書こうとしない
議事録の目的は、会議を丸ごと再現することにはありません。重要な決定事項・アクション・課題を後から確認できる状態にすることです。メモが追いつかない場面があっても、3点と決定事項が押さえられていれば役割は果たせます。
むしろ、議事録担当自身が議論に積極的に加わったほうが、内容の理解が深まり、要点整理の精度が上がります。手の動かし方をもう少し詰めたい方は、会議中のメモを効率的に取るコツもあわせてご覧ください。
会議後:要点を整理して当日中に共有する
会議が終わったら、速やかに整理へ移りましょう。理想は10分以内の着手です。
直後にやるべきは、骨格づくりです。次の3点から先に整理します。
- 決定事項:会議の中で最終的に合意した結論
- ネクストアクション:担当者・内容・期限の3点セット
- 特記事項:保留事項、次回確認が必要なこと
ここまで書ければ骨格は完成です。基本情報や討議内容の清書は、そのあとで構いません。
会議中に「?」を付けた疑問点は、記憶が新しいうちに参加者へ確認します。確認するときは、議事録の正確性を高めるためであることを簡潔に伝えましょう。早く聞けば、答えるほうの負担も軽くて済みます。
共有は当日中を目標にします。欠席者がいる場合は、出られなかった人にどう渡すかまで考えましょう。骨格だけを先に流し、「内容に誤りや漏れがあれば教えてください」と一言添えるだけで、反応は集まりやすくなります。
宛先や添える一文の例まで見たい方には、議事録を共有するときのポイントを例文つきでまとめた記事があります。
社内会議の議事録でよくある3つの失敗と対策
不慣れな段階ほど陥りやすいパターンがあります。当てはまるものがあれば、対策から先に試してみてください。
1. 発言をすべて書き起こそうとする
議事録に時間がかかる原因のひとつが、「会議の発言を全部記録しなければ」と考えてしまうことです。
この負担は、多くの現場で共通しています。Otolioのアンケートで最も多かった悩みも、議事録作成が本業を圧迫しているというものでした。60分から90分の会議1本に対して、文字起こしと議事録作成に2〜3時間、長いケースでは1日を費やしていたという回答も複数あります。
「録音があるから後で聞き返せばいい」と考えている方も要注意です。1時間の会議録音を等速で最初から最後まで聞き返せば、それだけで1時間かかります。重要な部分を特定して整理するところまで含めれば、会議時間を大きく超えることも珍しくありません。
そもそも、発言をそのまま書き起こすことが議事録の目的ではありません。議事録に求められるのは、「何が決まったのか」「誰が何をするのか」「どのような課題があるのか」を後から確認できる状態です。
対策:「誰が・何を・いつまでに」の3点メモに立ち返りましょう。
一言一句を追うのをやめ、決定事項とネクストアクションの把握に集中するだけで、作成時間は大きく縮みます。議論の経緯は「討議内容」として要点だけまとめれば十分です。会議中は「これは重要」と感じた瞬間に短いキーワードだけを残し、会議後すぐにそのメモを見ながら組み立てます。内容を書き取るというより、後で参照するための目印を置くイメージです。
2. 決定事項とアクションが曖昧なまま共有する
「〜について検討することになった」「引き続き進めていくことになった」だけでは、次に誰が何をするのかが分かりません。会議で明確な結論が出なかった場合でも、担当者や期限を記載し、次の行動が分かる状態にしましょう。
曖昧さが引き起こすのが、「言った言わない」の行き違いです。担当者や期限が書かれていないネクストアクションから生まれることが多くなります。
対策:共有する前に、「決定事項」と「ネクストアクション」の欄だけをもう一度見直す習慣を作りましょう。次の2点を確認してみてください。
- 決定事項の欄に「検討」「確認する」という言葉だけが残っていないか
- ネクストアクションの担当者・期限が空欄のままになっていないか
会議で「〇〇については次回に持ち越し」となった場合は、「次回議題」として明記します。次回までに準備が必要な場合は、ネクストアクション欄に担当者・内容・期限をセットで記載しましょう。保留事項を特記事項として残しておけば、「あの件はどうなったんだっけ」という疑問にも答えられます。
この2点以外にも見落としやすい箇所があるため、共有前に確認する18項目を並べた記事も手元に置いておくと安心です。
3. 作成を後回しにして記憶が薄れる
「別の仕事が入って翌日に回した」「週末に書こうと思っていたら内容を忘れた」。会議後に別の業務が入るのは日常なので、この問題は誰にでも起こります。
記憶が薄れると、次の作業が難しくなります。
- 発言者の特定(「あの発言は田中さんだったか佐藤さんだったか」)
- ニュアンスの再現(「賛成だったのか、保留だったのか」)
- 未記録事項の補完(「他にも話していた気がするが思い出せない」)
これらを埋めるために時間が余計にかかり、結局「最初からきちんとメモを取っておけばよかった」と後悔することになりがちです。
対策:「10分以内着手」を習慣にすることが効きます。完成させる必要はありません。会議直後に5分だけ使って「決定事項・ネクストアクション・気になった点」を箇条書きにしておくだけで、後の作業は大幅に速くなります。
とはいえ、習慣づけで解決しない場面もあります。そもそも議事録を残す文化がない組織では、後回しどころか記録自体が生まれません。人材マッチング事業を手がける株式会社プロリーチは、まさにその状態にありました。
議事録を作成する習慣がなく、社内会議で決めたはずの次回アクションをすぐに確認できませんでした。記憶が曖昧になり、同じ議論をやり直すこともあったと言います。
同社はAIが自動で議事録を作成する形に切り替え、会議後すぐに議事録を確認できる体制を整えました。会議に参加していなくても議題を見れば話の中身が分かるようになり、必要な箇所は音声でも確認できる状態になっています。
参考記事:AIで会議後すぐに議事録を確認できる状態を実現!音声を活用し正確な情報共有も可能に|株式会社プロリーチ
まとめ|社内会議の議事録は「使える記録」にする
社内会議の議事録を「使える記録」にするために押さえたいポイントは、大きく3つでした。
1つ目は、目的を持って書くことです。議事録が担うのは、情報共有・決定事項の明確化・タスクの進行管理という3つの役割です。この意識があるだけで、何を書くべきかの判断がぶれなくなります。
2つ目は、9つの基本項目とテンプレートで型をつくることです。基本情報・議題・決定事項・ネクストアクション・特記事項をひな形にまとめておけば、毎回ゼロから考える必要がなくなり、書き漏れも防げます。
3つ目は、会議の種類に応じて項目を調整することです。一般的な社内会議では9項目を基本にしつつ、会議の目的や社内ルールに応じて内容を調整します。取締役会や株主総会、衛生委員会のように法令上のルールがある会議は、その要件に従って記録します。1枚の型をすべての会議に当てはめると、必要な情報が抜けたり、反対に情報が過剰になったりします。
そのうえで、「結論ファースト」と「10分以内着手」を習慣にできれば、読みやすさと作成スピードは両方とも変わります。まずは次の1本から、9つの項目を埋めるところで試してみてはいかがでしょうか。
ここまで読んで、型は分かったものの、会議後の作成時間そのものを減らしたいと感じた方もいるかもしれません。テンプレートや書き方を工夫しても、会議後の作成作業を完全になくすことはできません。さらに負担を減らしたい場合は、記録の作り方そのものを見直す方法があります。
決定事項やアクションは、会議の中ですでに話されています。それを会議後に人が思い出しながら書き直す作業には時間がかかります。Otolioは会議の音声から文字起こしと要点の整理までを自動で行い、会議後に確認できる形にまとめます。読み手が気になった箇所は、要点に付いた時刻から元の発言をすぐ聞き直せます。議事録作成の負担を減らし、会議中の議論に集中しやすい環境を整えられます。
よくある質問とその回答
Q. 社内会議の議事録は「です・ます調」と「だ・である調」のどちらで書きますか?
社内向けの議事録では、簡潔にまとめやすい「だ・である調」がよく使われます。文章が短くなり、箇条書きとの相性もよく、読み手が情報を素早く把握できます。ただし、外部に共有する議事録や役員会議用の議事録は「です・ます調」が合う場合もあります。会議の種類や共有範囲に合わせて使い分けましょう。
Q. 議事録はどのくらいの時間で共有すればよいですか?
会議当日、遅くとも翌日中の共有をおすすめします。議事録は鮮度が重要で、時間が経つほど記憶が薄れ、認識のずれを確認しにくくなります。特に決定事項やネクストアクションを含む議事録は、次のアクションが始まる前に関係者全員が確認できる状態にするのが理想です。まず決定事項やネクストアクションに誤りがない状態まで整え、できるだけ早く共有して参加者に確認してもらうと効率的です。
Q. 議事録を書いても読まれません。どうすればよいですか?
読まれない議事録には「長すぎる」「結論が見つけにくい」という共通点があります。改善のポイントは2つです。1つ目は、決定事項とネクストアクションを冒頭にまとめる結論ファーストの構成にすることです。2つ目は、詳細な議論の内容を絞り込み、「誰が・何を・いつまでに」の情報を前に出すことです。読む人が必要とする情報に構成を寄せると、読まれる議事録に変わっていきます。
Q. AI議事録ツールは精度が心配ですが、実務で使えますか?
AIによる文字起こしは完璧とは限らず、専門用語の誤変換や話者識別の誤りが起きることもあります。ただし「AIが叩き台を作り、人が修正する」という前提で使えば、ゼロから手作業で作るより大幅に時間を短縮できます。要点に発言の時刻が付き、その箇所の音声をすぐ聞き直せるツールなら、修正も効率的です。まずは社内の定例会議など、比較的シンプルな会議で試すことをおすすめします。
Q. 議事録の作成担当は持ち回りにしたほうがよいですか?
持ち回りにすると特定の人への偏りは減りますが、書き手が変わるたびに細かさや構成がぶれやすくなります。おすすめは、ひな形と「決定事項・ネクストアクション・特記事項」の3点というルールを先に共有したうえで持ち回る形です。誰が書いても同じ水準の記録が残れば、担当者が休んだ日でも会議の情報は途切れません。録音から要点整理までをAIに任せれば、記録担当者の負担は減らせます。ただし、内容の確認や共有を誰が行うかは決めておくと運用しやすくなります。
