営業が商談前に準備すべき7つのこと|そのまま写せる準備シート付き
商談の成果は、席に着く前に何がどこまで決まっているかで変わります。引き出せる話も、その場で出せる提案も、準備の深さに連動します。
ただ、いざ準備を始めると、
- 何をどこまで準備すればよいか分からず、当日に何を話すかも固まらない
- 項目は頭に入っているが1枚にまとまっておらず、毎回ゼロから書き出している
- 商談件数が多く、1件あたりの準備に時間をかけられない
といった壁に突き当たる方も少なくないでしょう。
そのためこの記事では、商談前に押さえる7つの情報を1枚の準備シートにまとめ、記入例と、前日から直前までの段取りまで整理します。
初回のヒアリング、提案、クロージング。商談のたびに準備をゼロから組み立て直す必要はありません。Otolioは相手企業のWeb情報と自社の営業資料から商談シナリオを下書きし、当日の会話はそのまま記録に残します。カレンダー連携によってWeb会議の録音も自動化でき、商談前の準備から当日の記録まで効率化できます。
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商談前の準備を1枚のシートにまとめる
営業準備という言葉は、2つの意味で使われています。ひとつは営業活動全体の準備で、商材の理解や訪問先の選定、ロールプレイングまでを含みます。もうひとつが、目の前の商談1件に向けた準備です。この記事が扱うのは後者で、商談1件の準備は7つの項目に収まります。
そのまま写せる商談準備シート
準備の差は、調べた情報の量では決まりません。決め手は、その情報が1枚にまとまっているかどうかです。次の表が、商談1件分の準備シートです。
| No. | 準備項目 | 調べて書くこと | 商談中に確認・実行すること |
|---|---|---|---|
| 1 | 企業情報 | 事業内容、直近3件のプレスリリース、中期経営計画の重点テーマ、採用中の職種 | 力を入れている領域で、現場が何から着手しているか |
| 2 | 担当者情報 | 所属、役職、決裁権の有無、これまでのやり取り | 今回の件をどこまでの範囲で決められるか |
| 3 | 想定される課題 | 業界共通、規模ならでは、成長段階から1つずつ(仮説3つ) | 立てた仮説が当たっているか |
| 4 | 商談の目的とゴール | 終わったときの状態を1文で(行動レベル) | 商談の目的や議題を共有し、相手の意向と合っているか |
| 5 | ヒアリング項目 | 顕在課題、潜在課題、数値、判断基準の4系統で質問を用意 | 答えやすい順に聞けているか |
| 6 | 想定提案 | 本命・軽量・拡張の3プランと、概算費用・期間・体制 | どの規模感が現実的か |
| 7 | 想定質問と回答 | 価格、実績、競合比較、サポート体制、答えづらい質問 | 即答できたか、持ち帰る必要があったか |
この表を自分のメモ帳に写して、左から順に埋めてください。各行に何を書くかは、このあと1項目ずつ解説します。埋める順番は表のとおりで構いません。右端の「商談中に確認・実行すること」には、顧客に確かめたい内容と、自分が商談中に実行することを記載します。事前に整理しておけば、当日の質問や行動を明確にできます。
シートを埋める3つの視点
同じ項目を埋めても、どの視点で書くかで当日の使い勝手は変わります。表に手を付ける前に、3つの考え方を手元に置いておきましょう。
目的とゴールは行動レベルで書く
シートの4行目にあたる考え方です。商談の目的とゴールを「なんとなくニーズを聞く」「良い関係を作る」といった抽象表現で終わらせると、当日の判断に使えません。準備シートには、商談が終わったときに達成されている状態を、行動が分かる文で書きます。
たとえば「予算感と決裁プロセスを確認し、次回の提案書に反映する合意を取る」。ここまで具体的にしておけば、途中で話が逸れても立ち返るべき目的が明確になります。ゴールを1文で書けるかどうかが、準備が足りているかの目安になります。
自社目線ではなく相手目線で集める
「調べて書くこと」の列を埋めるときの視点です。準備の段階では、つい自社の商材が刺さりそうな情報ばかり探してしまいます。ただ、相手が知りたいのは、商材の機能一覧よりも「自分たちの課題がどう解決されるか」です。
情報収集の視点を「自社が何を売りたいか」から「相手が何に困っていそうか」へ切り替えると、集まる情報の性質が変わります。中期経営計画や採用ページの募集職種、企業が公式に発信している情報などが参考になります。相手の関心に沿った材料を先に集めると、当日の言葉選びも自然と相手寄りになります。
仮説は3つ用意する
シートの3行目の埋め方です。「仮説を立てる」という言葉はよく聞きますが、実務で困るのは「いくつ用意すればよいのか」でしょう。おすすめは3つです。
仮説が1つ2つだと会話の選択肢が限られ、逆に多すぎると優先順位をつけられなくなります。3つあれば、1つ目が外れても2つ目・3つ目で会話を続けられ、どれから聞くかの順番もつけられます。
3つの仮説は「業界共通の課題」「企業規模に応じた課題」「成長段階に応じた課題」から1つずつ用意します。それぞれの根拠と確認したい質問を整理しておくと、商談中に検証しやすくなります。
記入例|初回商談のシートを埋める
埋まった状態を一度見ておくと、自分の案件に置き換えるときに手が止まりません。従業員300名規模の製造業への初回商談を想定して、7行すべてを埋めてみます。
| 準備項目 | 書いた内容 | 商談中に確認・実行すること |
|---|---|---|
| 企業情報 | 産業用部品の製造。直近のプレスリリースは海外向け新工場の稼働。中期経営計画の重点テーマは生産管理のデジタル化。製造技術職と情報システム職を通年で募集 | デジタル化はどの工程から着手しているか |
| 担当者情報 | 生産管理部の課長。部内の運用変更は決められるが、全社のシステム導入は情報システム部と役員の合意が必要そう | 今回の件をどこまでの範囲で決められるか |
| 想定される課題 | 仮説1は人手不足で熟練者の判断が引き継がれていないこと。仮説2は部門ごとに台帳が分かれ、全体の進捗が見えないこと。仮説3は海外拠点が増え、国内と同じやり方が通じなくなっていること | 3つのうち、いまいちばん痛いのはどれか |
| 商談の目的とゴール | 生産管理のデジタル化でどの工程から手を付けるかの優先順位を聞き、次回に絞り込んだ提案を持ち込む合意を取る | 商談の目的や議題を共有し、相手の意向と合っているか |
| ヒアリング項目 | 顕在課題はいま困っている工程。潜在課題は引き継ぎに時間がかかっている作業。数値は1件あたりの確認にかかる時間。判断基準は導入可否で最も重視する点 | 答えやすい順に聞けているか |
| 想定提案 | 本命は生産管理の全工程、軽量は1ラインの試験導入、拡張は海外拠点を含む展開。それぞれの概算費用・期間・体制 | どの規模感が現実的か |
| 想定質問と回答 | 価格:導入範囲に応じた概算費用と見積もり条件を説明する。 実績:同規模の製造業での公開事例があれば紹介する。 競合比較:機能・費用・サポートの違いを説明する。 サポート:立ち上げ時の支援内容を回答する。 海外拠点での運用可否:確認できていなければ持ち帰り、回答期限を伝える | 即答できたか、持ち帰る必要があったか |
注目してほしいのは、想定される課題の行です。3つの仮説を、業界に共通する課題・企業規模から生まれる課題・成長段階から生まれる課題という別々の層から拾っています。似た前提に基づく仮説ばかりを用意すると、想定外の課題が出たときに対応しづらくなります。異なる観点から仮説を用意しておくと、話題が変わっても質問を切り替えやすくなります。
準備した商談と、しない商談は何が違う?
違いは3つに現れます。ひとつ目は、会話の軸です。準備が不十分なまま臨むと、相手が別の話題を切り出したときにそのまま流され、本来聞きたかったことを聞けずに終わります。「この商談で何を確認し、何を決めたいのか」を書き出しておけば、雑談から本題へ自然に戻せます。
ふたつ目は、提案の当てはまり方です。同じ商材を持っていっても、相手の企業規模や業界、置かれている状況によって刺さり方は変わります。「業務効率化」というテーマひとつ取っても、現場担当者に響く切り口と経営層に響く切り口はまったく違います。
準備段階で相手の立場と関心を整理しておくと、汎用的な説明ではなく、相手の状況に即した提案ができるようになります。
3つ目は、信頼の入り口です。商談の冒頭で「御社の直近のプレスリリースを拝見しました」と切り出せるかどうかで、相手の受け止め方は変わります。相手企業の公開情報を把握せずに臨むと、質問が表面的になり、詳しい課題を引き出しにくくなる可能性があります。相手が見ているのは情報量そのものより、理解が質問に反映されているかどうかです。
商談前に押さえる7つの情報
7項目のうち、最初の3つは相手を知るための項目です。残りの4つは、自分が当日どう振る舞うかを決める項目になります。この境目を頭に置くと、どこまで調べれば十分かの線が引きやすくなります。
企業情報|事業内容・IR・規模で仮説の土台を作る
企業情報は、残り6項目すべての土台になります。表面的な事業紹介で止めず、直近の動きと経営の方向性まで押さえておくと、仮説の精度が一段上がります。調べることは、次の6つに絞って構いません。
- 会社概要ページの事業内容・沿革・従業員数・拠点
- 直近3件のプレスリリース
- IR資料(上場企業の場合)の中期経営計画・重点テーマ
- 採用ページの募集職種と求める人物像(組織課題のヒント)
- 業界内での立ち位置と主要な競合他社
- 経営理念・ビジョン(提案の言葉選びに反映)
採用ページは見落とされやすい情報源です。募集職種や採用人数からは、企業が人員を強化しようとしている領域や、事業拡大の方向性を推測できます。同業他社との違いと、経営上どの領域に重点投資しているかまで確認できれば、企業情報の行は埋まったと考えてよいでしょう。
担当者情報|役職と関心事から話し方を変える
相手の立場が変われば、同じ提案でも関心を持ってもらえるポイントが変わります。現場担当者は日々の業務がどう楽になるか、マネージャーはチーム全体の成果、経営層は事業への影響と投資対効果に反応します。
この行に書き込むのは、次の5点です。
- 氏名・所属部署・役職(決裁権の有無を把握)
- 過去のやり取り・問い合わせ経緯・関心を示したテーマ
- 会社公式サイト、業務目的で公開されたSNS、登壇資料などから確認できる関心テーマ
- 前任者や同じ部署のキーパーソンとの関係
- 業界イベントでの発言・寄稿記事(あれば)
このうち、商談中の立ち回りをいちばん左右するのは決裁権の有無です。相手が自分で決められる範囲を把握していないと、熱心に提案していた相手が、実は社内で稟議を回す側だったと分かることもあります。役職ごとに判断基準が違う前提で、説明の順番を組み立てておきましょう。
想定される課題|業界・成長段階から仮説を立てる
仮説は、業界トレンド・企業規模・成長段階という3つの観点から、1つずつ立てます。相手目線で情報を集める視点が、いちばん試される項目です。材料になるのは、次の5つです。
- 業界全体で語られている課題(法改正・技術トレンド・市場変化)
- 企業規模ならではの課題(人手不足・部門間の情報連携・事業拡大に伴う運用負担)
- 成長段階の課題(立ち上げ・拡大・成熟・再構築のどの段階か)
- 決算・IR・採用情報から読み取れる「今の投資テーマ」
- 競合他社が公開している事例で共通する困りごと
仮説を用意したら、それぞれの根拠になった情報と、商談中に確認したい質問をセットで整理します。仮説を事実として決めつけず、相手が答えやすい問いに変えておくことが大切です。
初回から提案・クロージングまでの商談全体の流れを確認したい方は、営業の商談を成功させるための3つのコツ!進め方やスキルを身につける方法も紹介も参考にしてください。
商談の目的とゴール|終わったときの状態を1文で書く
7項目のなかで、書き方がいちばん問われる行です。抽象的な目的をいくつ並べても、当日の判断には使えません。ここは1文に収めましょう。書いた1文が使えるかどうかは、次の5点で確かめられます。
- この商談で「知りたいこと」を3つに絞れているか
- この商談で「合意したいこと」を1つに絞れているか
- 商談後、次のアクションが自然に決まる状態を描けているか
- 相手にとってのメリット(時間を使う価値)が言語化できているか
- 「もし想定と違ったら次にどうするか」の分岐も想定できているか
商談は、相手にとっての価値もあわせて設計するものです。「30分をもらうに値する時間になっているか」と自問すると、独りよがりの目的設定を防げます。商談の冒頭では、準備したゴールを踏まえて、今回の目的や確認したい内容を相手と共有しましょう。双方の認識をそろえておくことで、その後の進行もぶれにくくなります。
ヒアリング項目|顕在課題と潜在課題を両方聞く
特に初回商談では、一方的に商材を説明するよりも、相手の状況や課題を深く理解することが大切です。そのため、相手が言語化できている顕在課題だけでなく、まだ言葉になっていない潜在課題まで引き出す設計が必要になります。質問の順番と深さは、準備の段階で決めておきましょう。
質問は、顕在課題・潜在課題・数値・判断基準の4系統で用意します。あわせて、相手の立場に応じて聞き方を変えることも意識しましょう。
- 顕在課題を確認する質問(「今どのようなことにお困りですか」)
- 潜在課題を引き出す質問(「その解決を進めるうえで、いちばん時間がかかっている工程は何ですか」)
- 相手の立場に合わせた聞き方(現場担当者には業務負担、管理職には組織への効果などを確認する)
- 数値やファクトを引き出す質問(「1件あたり何時間かかっていますか」)
- 判断基準を確認する質問(「導入判断で最も重視するのはどこですか」)
質問を用意したら、答えやすい順に並べ替えておきます。いきなり判断基準を聞くと身構えられるため、事実を確認する質問から入り、数値、そして判断基準へと進むのが自然です。
用意した質問への回答をどう記録するかまで決めておくと、当日の負担を減らせます。商談中のメモの取り方や相手への伝え方は、商談中のメモはマナー違反?メモを取るときのコツや注意点、便利なツールも紹介で解説しています。
想定提案|複数プランで柔軟に切り替える
提案を一案に絞って持ち込むと、予算や体制の話が出た瞬間に行き場がなくなります。準備段階で「本命プラン」「軽量プラン」「拡張プラン」の3つを用意しておけば、相手の反応に応じて見せ方を変えられます。組み立てるときに押さえたいのは、次の5点です。
- 相手の顕在課題に直接応える「本命プラン」
- 予算・体制の制約があった場合に切り替える「軽量プラン」
- 発展的な取り組みに広げる「拡張プラン」
- 各プランで実現できる状態を1文で書けているか
- 各プランの概算費用・期間・体制を即答できるか
「本命は難しそうだ」と感じた瞬間に軽量プランへ切り替えられると、商談の温度を落とさずに議論を続けられます。どのプランも、実現できる状態を1文で書けるところまで用意しておきましょう。
想定質問と回答|数字と事例で即答できる状態を作る
「その価格、他社と比べてどうですか」と質問されたときに十分な説明ができないと、相手の疑問や不安を解消できません。多くの商談で聞かれる質問には、あらかじめ回答を用意しておきましょう。
備えておきたい質問は、次の5つに分かれます。
- 価格に関する質問への回答(値引きの可否、回答できる範囲、社内承認が必要になる条件)
- 実績・導入社数に関する質問への回答(数字と代表事例)
- 競合比較の質問への回答(差別化ポイント3点)
- 導入時のサポート体制・開始までの流れ
- 答えづらい質問(未対応機能・トラブル事例)への正直で前向きな回答
答えづらい質問こそ、その場で取り繕わないことが大切です。「持ち帰って確認します」と正直に返し、いつまでに回答するかを添えましょう。この返し方のほうが、曖昧にごまかすよりも信頼を守れます。
前日から直前までの段取り
ここまでの7項目では、調べる情報だけでなく、商談の目的や質問・提案の準備も整理しました。ただし、必要な内容が分かっていても、着手が遅れると準備が間に合いません。前日から商談開始までに何を済ませるか、段取りを決めておきましょう。
| タイミング | やること |
|---|---|
| 前日まで | アジェンダで当日の目的・確認したい内容・所要時間を共有する。事前に目を通してもらいたい資料は、可能であれば前日までに送る |
| 当日の朝 | 参加者と役職を確かめる。決裁者が入るかで提案の出し方が変わる。日時・場所・接続方法も再確認する |
| 開始5〜10分前 | オンラインなら接続とマイク、画面共有を確かめる。共有する資料を開き、準備シートを手元に出しておく |
前日まで|アジェンダの共有と資料の準備
アジェンダは、商談で扱う議題や進め方を事前に共有するためのものです。今回の目的、確認したい内容、所要時間を伝えておけば、双方が認識をそろえた状態で商談に臨めます。議題ごとの時間配分も必要に応じて記載しますが、分単位で細かく決める必要はありません。
事前に目を通してもらいたい資料は、可能であれば前日までに共有しましょう。相手が疑問点を整理できるため、当日の議論を進めやすくなります。事前に質問が寄せられた場合は、その内容から相手の関心を把握し、説明を準備することもできます。
当日|参加者と決裁者、接続を確かめる
当日の朝に確かめたいのは、参加者が増えていないかどうかです。とくに決裁者が同席するかどうかで、提案の出し方は変わります。同席するなら、本命プランの投資対効果を先に出す構成に組み替えておきましょう。現場担当者だけなら、日々の業務がどう変わるかを先に置いたほうが届きます。
オンライン商談なら、開始の5〜10分前に接続とマイク、画面共有を試しておきましょう。訪問なら、受付の場所と入館手続きの確認です。地味な作業ですが、ここでつまずくと冒頭の数分が消え、準備した内容を話す時間が削られます。最後に準備シートを手元に出せば、商談開始前の準備は一通り整います。
2回目以降の商談準備とAIによる効率化
初回商談の準備は「相手を知ること」が中心です。2回目以降になると、重心が移ります。前回の商談で何が起き、どのような宿題が残っているかを正確に把握することが、次の商談の成果を左右します。
2回目以降は「前回の発言」に戻れると変わる
初回の直後は、相手の発言も温度感も言い回しも頭に残っています。ただ、時間が経つほど記憶は薄れます。文字に起こした記録だけでは、発言の裏にあった迷いや前のめり具合までは残りません。
商談の記録が各自の手帳やExcelに散らばっていて、訪問を重ねるほど前回の話を思い出せなくなる、という声も聞きます。記録が個人に閉じていると、担当が代わった瞬間にその案件の文脈ごと失われます。
ここを変えられるのが、前回の発言そのものに戻れる状態です。Otolioでは、AIが自動で出した要点やToDoに発言時刻が付きます。その時刻をクリックすると、該当箇所の音声を聞き直せます。再生速度は0.5倍から2倍まで変えられるので、1時間の商談でも必要な部分だけを短時間で拾えます。
相手が課題を語ったときの言葉遣いや、提案への反応の間合いも確認できます。これらを次の準備に反映できると、「前回の話を踏まえてくれている」という信頼が積み上がります。
準備・商談・振り返りをひとつのサイクルとして回すには、商談後の振り返り方も決めておくと効果的です。具体的な進め方やフィードバックの例文は、商談後のフィードバックのコツ!例文や伝え方・便利なツールなど解説で紹介しています。
商談シナリオの下書きをAIに作らせる
ここまで紹介した準備シートには、ひとつ弱点があります。自分で調べて自分で論点を立てる形なので、経験の差がそのまま準備の差になることです。何を聞くべきか思いつける人と、思いつけない人の差は、シートの枠があっても埋まりません。
Otolioは、この最初の一手を肩代わりします。相手企業のWeb情報と自社の営業資料をもとに、AIが商談シナリオを下書きするためです。
下書きには、相手企業に想定される課題やニーズ、自社が提供できる価値、当日ヒアリングすべき論点、提案の方向性までが入ります。しかも各論点には、「相手にどう問いかけるか」のトーク例と「なぜそれを聞くのか」の意図がセットで添えられます。
これにより、準備の進め方が変わります。白紙のシートを埋めるのではなく、AIが作った下書きを確認し、必要な部分を修正するところから始められます。手作業で準備シートを作る場合との大きな違いです。
Salesforceと連携している場合は、会議前に商談レコードを紐付けるだけです。すると、Salesforceの商談情報・AIが集めた相手企業の情報・商談シナリオの3つが自動でそろいます。
商談の準備からフォローアップまでの業務時間は、社内検証で平均90%削減できることを確認しています。準備の型そのものを変えると、効果は作業時間の短縮にとどまりません。経験の浅いメンバーでも、質問例や提案の論点を確認しながら商談の準備を進めやすくなります。
商談記録を次回提案に生かした営業組織の事例
実際の営業組織でどう変わったのかを、公開されている導入事例から紹介します。

株式会社フィックスポイントのセールス&マーケティング部では、商談の議事録作成に1件あたり最大1.5時間かかっていました。お客様のヒアリング内容が次回提案の質を直接左右するため、発言を正確に残す必要があります。ただ、会話しながらすべてを書き留めるのは難しく、商談後に録画の音声を聞き直しながら議事録を作る状態が続いていました。議事録を作る時間を確保するために、商談を入れられる枠は多くて3件ほどに限られていたといいます。
同部署はOtolioを活用し、重要な発言をすぐに聞き直せる運用に切り替えました。その結果、議事録の作成時間を65%削減し、簡易的な議事録では作成そのものが不要になったケースもあります。議事録を作っていた時間帯に商談を入れられるようになり、対応できる商談数も増えました。
効果は時間の削減にとどまりませんでした。文字だけの議事録では残せなかった発言の背景やニュアンスまで、チームで振り返れるようになっています。
「あの発言の意図をどう捉えるか」「次回提案で何を強調するか」を、当時の音声を確認しながら議論できるようになりました。次回の準備においても、担当者の記憶だけでなく、組織に残された記録を活用できるようになったのです。
参考記事:商談の議事録作成時間がゼロに。対応できる商談数が増え、提案のクオリティ改善も実現
まとめ|商談準備は1枚のシートで毎回そろう
商談1件の準備では、企業情報、担当者情報、想定される課題、商談の目的とゴール、ヒアリング項目、想定提案、想定質問と回答の7つを押さえます。これらが1枚の表に並んでいれば、項目名を思い出すところから始める必要がなくなります。
シートを埋める際には、3つの視点を意識しましょう。目的とゴールは行動が分かる1文で書き、情報は相手目線で集めます。仮説は業界・企業規模・成長段階の観点から3つ用意します。この3点を意識すると、準備の精度を高められます。
そして、準備は調べるだけで終わりません。前日までにアジェンダを共有し、事前に目を通してもらいたい資料も必要に応じて送ります。当日の朝には参加者を確認します。開始前には接続環境と手元の資料を整えましょう。
こうした段取りを決めておけば、直前に慌てずに済みます。2回目以降は、前回の会話に戻れる状態を作っておくと、思い出す作業そのものが短くなります。
まずは次の商談から、7項目の表をメモ帳に写して埋めてみてはいかがでしょうか。
準備の型は、一度読んだだけでは身につきません。実際の商談で使い、終了後に振り返って、次回に向けて改善しましょう。この繰り返しによって、自分や組織に合った準備の型ができていきます。商談が続くときほど、振り返った内容を記録し、次回の準備に活用できる状態にしておくと、改善を継続しやすくなります。
7項目のシートは、明日の商談からでも使えます。ただ、2回目、3回目と重ねるほど、埋める材料は前回の会話のなかに増えていきます。Otolioは会話を記録として残し、AIが出した要点やToDoに発言時刻を付けます。前回の会話を聞き直せるため、「想定される課題」や「ヒアリング項目」を、記憶だけに頼らず整理できます。
よくある質問とその回答
Q. 商談準備にはどれくらい時間をかければよいですか?
案件の重要度や難易度にもよりますが、初回商談であれば1件あたり30分から1時間を目安に、7項目のシートを埋める形で進めるのが現実的です。商談件数が多い日は、企業情報の収集と想定質問への回答準備を前日までに済ませておきましょう。当日は仮説と目的・ゴールの最終確認に集中すると、限られた時間でも準備を進めやすくなります。
Q. 準備した内容と実際の商談内容がズレたときはどうすればいいですか?
無理に準備どおりの流れへ戻そうとせず、相手が新しい話題を出した意図を確認し、必要に応じて会話を広げましょう。仮説を3つ用意しておけば、1つ目が外れても残りの2つで会話を続けられます。判断の軸は「準備した目的とゴール」に置いてください。話題が変わっても、本来聞きたかったことに戻せます。
Q. 相手企業の情報が公開情報でほとんど得られないときはどう準備しますか?
相手企業の公開情報が少ない場合は、業界共通の課題や、同じ規模・成長段階の企業に見られる傾向を参考に仮説を立てます。ただし、推測と確認できた事実は区別しておきましょう。商談の冒頭では「公開情報だけでは詳しい状況を把握できなかったため、現在の取り組みについて教えていただけますか」と切り出す方法があります。ある程度状況を把握できたら、準備した仮説が合っているかを質問していきましょう。
Q. 2回目以降の商談準備で、前回の議事録を見返す以外に効果的な方法はありますか?
前回の議事録だけでなく、決定事項や未解決の質問、次回までの宿題も確認しましょう。必要に応じて商談の音声を聞き直すと、発言の意図やニュアンスも把握できます。OtolioではAIが作成した要点やToDoから該当箇所の音声を確認できるため、その内容を次回の準備シートに反映できます。
Q. 若手営業の準備プロセスを組織で型化するには何から始めればよいですか?
先に確認したいのは、顧客への案内と社内規程です。商談の記録を共有する前提を整えたうえで閲覧権限を設定し、経験のあるメンバーの商談音声と準備シートを見られる状態を作りましょう。準備の型は言葉で伝えるより、実際にどう質問し、どう切り返しているかを聞いてもらうほうが早く身につきます。そのうえで7項目のシートを組織共通の様式として配ると、準備の粒度がそろっていきます。

