商談議事録の書き方|商談記録に残す5項目と記入例つきテンプレート
商談が終わるたびに記録を書くことは、多くの営業担当者にとって日常業務のひとつです。
ただ、書き上げたあとで引っかかることがあります。
- 日時や決定事項は書けているのに、顧客の課題や決裁の流れが残っていない
- 営業支援の仕組みに入れ直すまでに時間が空き、記憶が薄れてから書いている
- 次の訪問で前回何を話したか思い出せず、同じ質問を繰り返してしまう
そのためこの記事では、商談ならではの5項目、用途・フェーズ別のテンプレート4種、初回商談の記入済みサンプルまでを解説していますので、「商談のあとに書いた記録が、次の一手を決める材料になっていない」とお感じの方はぜひ最後までご覧ください。
商談が終わったときには、記録ができている。Otolioは商談の音声を録音し、話した内容から要点と次のアクションを自動でまとめます。Web会議なら、カレンダーに予定を入れておくだけ。書き起こす作業から始める必要がなくなります。
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商談議事録とは?通常の議事録と何が違うのか
商談議事録は、通常の議事録(日時・出席者・議論内容・決定事項)に加えて、商談ならではの5項目を残す記録です。顧客の課題と背景、予算と検討の時期、決裁の流れと関係者、競合と比較の軸、次回の約束と期限の5つです。
目的は社内での共有と引き継ぎ、そして顧客との認識合わせの2つです。初回商談・提案・クロージングではフェーズに応じて厚く書く項目を変え、社内共有用では判断に必要な要点に絞ります。
同じ「議事録」でも、重視する情報や使い方は異なります。通常の議事録は会議内容の記録・共有が主な役割ですが、商談議事録では次の提案や営業判断に必要な情報まで残します。読む人も、書いた本人とは限りません。商談そのものの進め方を見直したい方は、営業の商談を成功させるためのコツもあわせてご覧ください。
商談議事録の2つの目的
1つは、社内の共有と振り返りです。上司やフォロー担当者、引き継ぎ先、関連部門など、商談の場にいなかった人も状況を把握し、次の提案や判断ができる状態にします。次の商談で必要な準備、稟議に必要な情報、担当変更時の引き継ぎ事項などを確認できることが、商談議事録の役割です。
もう1つは、顧客との認識合わせです。話した内容、決めたこと、次にお互いが動く範囲を書面で残し、認識のズレを事前に潰します。口頭のやりとりだけでは「言った・言わない」が起きやすく、金額や納期のように後戻りしづらい合意ほど、文字での確認が効きます。
通常の議事録との違いは「次の一手が決まるか」
違いは3点あります。
| 比べる観点 | 通常の議事録 | 商談議事録 |
|---|---|---|
| 記載範囲 | 議論内容と決定事項が中心 | これに顧客の課題・競合状況・条件調整・未決事項まで加わる |
| 読み手 | 主に会議の参加者 | 参加していない上司・後追い担当・別部門 |
| 使われ方 | 会議内容の記録・共有に使われる | 次の提案・営業判断の材料として使われる |
商談のフェーズや関係者によって、読み手や判断したいこと(次の提案・社内の相談・引き継ぎ)は変わります。そのため、書式を1つに固定せず、フェーズごとに項目を持ち替える運用が実務に馴染みます。同じ書式のまま書き続けると、社内報告書として体裁は整うのに、次の商談で何を動かすべきかが読み取れない記録になりがちです。
なお、会議全般に共通する議事録の型は、議事録の書き方で会議別に整理しています。商談議事録は、そこに顧客の検討状況を足したものと考えると組み立てやすくなります。
商談議事録で押さえたい5項目
日時・出席者・議題・決定事項・次のアクションは、議事録に共通する基本項目です。ここでは、それらに加えて押さえたい商談ならではの5項目に絞ります。
| 残す項目 | 何を書くか | 抜けると何が起きるか |
|---|---|---|
| 1. 顧客の課題と、その背景 | 困っている中身と、そうなった経緯・きっかけ | 次の提案が機能の説明になり、なぜ今動くのかが読み手に伝わらない |
| 2. 予算と検討の時期 | 想定している金額の幅、どの期の予算か、稼働させたい時期 | 提案の規模が合わず、見積を出すタイミングも外す |
| 3. 決裁の流れと関係者 | 誰が決めるか、何段階の承認か、社内で誰に説明するか | 窓口の担当者と話が進んでも、最後の一歩で止まる |
| 4. 競合と比較の軸 | 比較している相手と、相手が重視している順番 | 相手の判断基準から外れた提案を出してしまう |
| 5. 次回の約束と、担当・期限 | 自社と顧客それぞれの宿題、担当者、期限、出すもの | 誰のボールか分からないまま日数が過ぎる |
この5つは、商談が終わった直後なら思い出せるのに、翌日には輪郭がぼやける情報でもあります。1つずつ見ていきます。
1. 顧客の課題と、その背景
課題そのものより、背景のほうが抜けます。「経費精算に時間がかかっている」とだけ書いた記録からは、次の提案が組み立てられません。なぜ今それが問題になったのか、きっかけまで残します。たとえば、前年の制度変更、担当者の退職、監査での指摘などです。背景まで書いてあると、次の提案を考える材料になります。
あわせて残したいのが、お客様の反応や温度感です。質問が続いた話題、繰り返された言葉、沈黙があった場面などを残します。議事録を要点だけにまとめると、口調の強弱など、音声から読み取れる情報は残りにくくなります。
特に重要な反応や発言の背景は、短く書き添えておきましょう。お客様が使った言葉をそのまま1行残しておくと、次の提案書の見出しに使えることもあります。
2. 予算と検討の時期
金額の話が出た回に書いておきます。後からまとめて書こうとすると、「50万円くらい」という言い方が「50万円」に化けてしまいます。
残すのは、想定している金額の幅、予算の対象期、稼働希望時期の3つです。この3つが揃うと、提案の規模や提出のタイミングを判断しやすくなります。条件面のやり取り(金額・納期・契約形態・サポート範囲)も、話に出たその場で書き留めておきましょう。クロージングに近づくほど、この記録が交渉の拠りどころになります。
3. 決裁の流れと関係者
目の前の担当者が決めるとは限りません。承認の段階数、最終決裁者、稟議の時期、社内で説明する相手を確認します。ここが空欄のまま提案が進むと、話がまとまったように見えて最後の一歩で止まります。
参加者を書くときは、氏名と所属だけでなく、一次窓口・起案者・決裁者など意思決定における役割も添えます。こうした役割が分かれば、引き継いだ担当者も次に誰へ確認すべきか判断しやすくなります。
4. 競合と比較の軸
比較対象の社名よりも、比較の軸と優先順位のほうが大切です。「3社で比較中」だけでは何も読み取れません。しかし「セキュリティが最優先で、次に手間、価格は3番目」と書いてあれば、次に何を厚く説明すべきかが一目で決まります。
優先順位は商談を重ねるうちに入れ替わります。前回と順番が変わっていたら、その変化こそ記録に値します。社内で誰かの意見が強く入った合図かもしれません。
5. 次回の約束と、担当・期限
商談議事録でいちばん抜けやすいのが、「誰が」と「いつまでに」です。次のアクションを「見積を送る」で終わらせず、「営業担当が来週水曜までに、購買部のご担当者へ送付する」まで落とし込みます。自社の宿題と顧客の宿題は、それぞれ分けて書きます。
決定事項と次のアクションは、議論のログの中に紛れ込ませず、独立した項目として立ててください。「何が決まったか」「次に誰が何をするか」が一目で読み取れる位置にあるかどうかで、記録の実用度は大きく変わります。合意できていない論点や持ち帰り事項も、次回の宿題としてここに並べておきます。
書き上げたあと、共有する前にもう一度見直したい観点は、議事録チェックリストで18項目に整理しています。
コピペで使える商談議事録テンプレート4種
商談のフェーズや共有目的によって、厚く書く項目は変わります。初回はヒアリング、提案は比較軸、クロージングは条件を厚くし、社内共有用は判断に必要な要点に絞ります。同じ様式ですべてをまかなおうとすると、使わない欄が空いたまま残り、かえって読みにくくなります。
項目の並びと必須項目だけは、チーム内で揃えておきましょう。書式が担当者ごとに違うと、読み手は毎回どこに何が書いてあるかを探すことになります。営業の商談記録は、議事録全般のなかでも要点だけを短く残す書き方に寄ります。全発言を追う必要はありません。判断に要る情報を定位置に置くだけで十分です。この前提で4種を用意しました。案件や業種に合わせて項目を足し引きしながら使ってください。
初回商談向けテンプレート
初回は、顧客の現状と課題を広く聞き出すのが目的です。提案要素は最小限にし、ヒアリング項目を厚めに用意します。
■ 商談日時:YYYY/MM/DD HH:MM〜HH:MM(所要:分)
■ 場所:オンライン・対面( )
■ 参加者
・自社:氏名(所属・役職)
・顧客:氏名(所属・役職、決裁ラインでの位置)
■ 商談の目的(自社側)
・
■ 顧客の現状
・業務の流れ:
・使用中のツール・体制:
・関わる部署・人数:
■ 顧客の課題・悩み
・顕在化している課題:
・その背景・きっかけ:
■ 予算・時期・意思決定
・想定予算:
・検討時期・稼働希望時期:
・意思決定者・稟議ライン:
■ 競合・他社検討状況
・比較検討中のサービス:
・比較軸・優先順位:
■ 自社からの説明内容(要点のみ)
・
■ 顧客の反応・温度感
・
■ 決定事項
・
■ 未決・持ち帰り事項
・
■ ネクストアクション(担当・期限・アウトプット)
・自社:
・顧客:
■ 次回商談の予定
・日程:
・議題:
ヒアリング項目は、商談が始まる前に仕込んでおくと当日の抜けが減ります。準備段階で押さえる観点は、営業が商談前に準備すべき7つのことで整理しています。
初回商談の記入済みサンプル
空欄の様式を見ても、どこまで細かく書けばいいかは分かりません。架空の案件で、上の様式を1本通して埋めた例を置きます。
■ 商談日時:2026/04/15 14:00〜15:00(所要:60分)
■ 場所:オンライン・対面(オンライン)
■ 参加者
・自社:営業担当(第一営業部)
・顧客:経理部 課長(一次窓口・稟議の起案者)、経理部 担当者(実務)■ 商談の目的(自社側)
・経費精算の現在の流れと、詰まっている箇所を具体的に聞く■ 顧客の現状
・業務の流れ:月初5営業日に申請が集中。紙の領収書を台紙に貼って提出し、経理が1件ずつ目視で確認
・使用中のツール・体制:Excelの申請書と紙の領収書。専用システムはなし
・関わる部署・人数:経理部2名で月約400件を処理。申請者は全社で120名■ 顧客の課題・悩み
・顕在化している課題:月初の3日間、経理2名が確認作業にほぼ専任で取られている
・その背景・きっかけ:昨年、電子帳簿保存法への対応で保管方法だけを見直した。申請の流れは紙のまま残り、二重管理になっている■ 予算・時期・意思決定
・想定予算:年間50万円前後。これを超えると部長決裁が必要になる
・検討時期・稼働希望時期:10月の下期開始に合わせたい。社内決定は8月末まで
・意思決定者・稟議ライン:経理課長が起案し、年間50万円以下は課長決裁、超過時は経理部長決裁。情報システム部によるセキュリティ確認も必要■ 競合・他社検討状況
・比較検討中のサービス:2社。社名は未開示
・比較軸・優先順位:1番目に申請者側の操作の少なさ、2番目に経理側の確認の手間、3番目に価格。「現場に新しい入力を増やしたくない」と明言■ 自社からの説明内容(要点のみ)
・スマートフォンでの領収書撮影から承認までの流れを画面で提示。料金表と電子帳簿保存法の対応範囲は後日送付■ 顧客の反応・温度感
・「現場が入力を増やされたと感じたら、その時点で止まります」と2回繰り返した。価格の話には反応が薄く、申請者側の画面を見せたときだけ質問が続いた■ 決定事項
・次回は情報システム部からの確認事項への回答と稟議資料の相談を行う■ 未決事項
・導入可否と契約条件は継続検討■ ネクストアクション(担当・期限・アウトプット)
・自社:営業担当が4/18までに、料金表と導入スケジュール案(2パターン)をメールで送付
・顧客:課長が4/22までに情報システム部へ事前相談し、確認が必要な項目を洗い出す■ 次回商談の予定
・日程:4/25 15:00〜(オンライン)
・議題:情報システム部からの質問への回答、稟議資料の構成の相談
埋めてみると、文章らしい文章がほとんどないことに気づくはずです。きれいな日本語にする必要はありません。「2回繰り返した」「価格の話には反応が薄く」のように、その場で見聞きしたことを短く置くだけで十分です。1か月後の自分にも、引き継いだ担当者にも伝わります。
提案商談向けテンプレート
提案の回で整理するのは、自社の提案内容、顧客の反応、競合との比較軸の3つです。初回で得た情報を前提に、意思決定へ近づける構成にしました。
■ 商談日時:YYYY/MM/DD HH:MM〜HH:MM(所要:分)
■ 参加者
・自社:
・顧客:
■ 前回からの申し送り
・
■ 提案内容(要点)
・提案の狙い:
・提案範囲:
・想定効果:
■ 顧客からの質問・懸念
・質問1: → 回答:
・質問2: → 回答:
■ 競合との比較
・比較対象:
・比較軸(機能・価格・サポート・実績など):
・現時点での顧客の評価:
■ 条件面のやり取り
・金額感:
・契約形態・期間:
・サポート範囲:
■ 決定事項
・
■ 未決・持ち帰り事項
・
■ ネクストアクション(担当・期限・アウトプット)
・自社:
・顧客:
■ 次回商談の予定
・
提案の回からは、前回までの話を踏まえて書くことになります。冒頭の「前回からの申し送り」は、そのための欄です。
クロージング商談向けテンプレート
クロージングでは、合意した条件と最終的な決定事項を、後から読み返しても揺らがない粒度で残します。金額・期日・契約条件など、後戻りしづらい合意ほど文字での確認が効きます。
■ 商談日時:YYYY/MM/DD HH:MM〜HH:MM(所要:分)
■ 参加者
・自社:
・顧客:
■ 合意事項(本商談で最終確定した内容)
・提供内容:
・金額(税別・税込):
・契約期間・開始日:
・支払い条件:
・納期・稼働開始日:
・サポート範囲:
・特記事項(例外対応など):
■ 稟議・社内手続き
・顧客側の残タスク:
・稟議完了予定日:
・押印・電子契約の段取り:
■ 導入スケジュール(概要)
・キックオフ予定日:
・関係者(顧客側・自社側):
・初期の到達目標:
■ 未決事項
・
■ ネクストアクション(担当・期限・アウトプット)
・自社:
・顧客:
■ 次回連絡予定
・
社内共有向けテンプレート
社内共有用は、上司・後追い担当・別部門が1分で読み切れる粒度にします。詳細は本編の商談議事録に残し、こちらは判断のための要点だけに絞ります。
■ 案件・顧客名:
■ 商談日時・担当:
■ 商談フェーズ:初回・提案・クロージング・導入後
■ 3行サマリー
1. 何を話したか:
2. 決まったこと:
3. 次のアクション(担当・期限):
■ 顧客の反応
・検討状況(根拠となる発言も記載):
■ 相談・支援してほしいこと
・上司へ:
・別部門へ:
■ 関連リンク(詳細議事録・提案書など)
・
書いたはずなのに次の一手がぶれるのはなぜ?
原因は書き方だけでなく、書いたあとの運用にもあります。決定事項の条件が十分に残っていないこと、営業支援の仕組みへ転記するときに背景が抜けること、商談を重ねて過去の記録を追いにくくなることが重なると、記録はあるのに次の一手がぶれます。
SFAに移すまでに落ちるもの
商談議事録とは別にSFA(営業活動を支援する仕組み)やCRM(顧客情報を管理する仕組み)へ記録する運用では、商談後に転記の工程が発生します。
Otolioが実施した250件以上の導入企業アンケートでは、「商談や面談の記録を取りまとめて、議事録やシステムに登録するまでに時間がかかる」という声が寄せられています。同じ回答のなかに、「相手の会話内容に集中したいのに、メモを取らなければならない」という一文も並んでいました。聞き出せる内容が、入力の速さに左右されてしまうわけです。
項目が固定された入力フォームへ転記する運用では、背景や言い回しなど、定型欄に収まりにくい情報が省かれることがあります。「予算は50万円前後」は残っても、「これを超えると部長決裁が必要」という一言は、入力欄がなければ消えます。次に読む人が判断を誤るのは、この消えた一言のほうです。
人材サービスの株式会社Warisでは、エージェント事業部が電話やWeb会議で商談を行っていました。聞き取った内容は、セールスチームに引き継ぐ流れです。
引き継ぐ情報をまとめる作業に時間がかかり、会話をしながら重要な情報をすべてメモに残すのは難しい状況でした。メモが取れなかった回は、商談後に記憶を辿って書くため、さらに時間がかかって情報も落ちていました。
そこで、録音と自動文字起こしを活用する運用に切り替えました。メモと記憶だけが頼りだった状態から、音声と文字起こしを後から確認できる状態になり、セールスチームへの引き継ぎ情報も整理しやすくなりました。
参考記事:Otolioはもはや育成ツール。導入後にメンバーの商談スキル向上を実現した方法とは
なお、溜まった商談記録をチームの振り返りや指導に使う方法は、営業フィードバックの効果的な方法で4つの型に整理しています。
「言った言わない」が生まれる場所
先ほどの導入企業アンケートで繰り返し挙がる動機のひとつが、会議や商談での「言った・言わない」を防ぎたいというものです。出張や訪問が多い現場では、確かめるために録音を聞き返す手間まで含めて負担になっている、という声もありました。
ただ、行き違いの原因は「記録がなかった」ことばかりではありません。記録があっても、必要な条件が抜けていると行き違いが起こります。
「導入支援は実施する」とだけ書かれていても、対応範囲・期限・担当者が分からなければ、合意内容を正確に確認できません。
防ぎ方はシンプルで、決定事項は条件とセットで書きます。「実施する」だけでなく、「自社の導入担当が、稼働後1か月以内に初期設定とマニュアル作成を実施する」と記します。この粒度まで書いてあれば、後から読み返したときにも解釈が割れません。
訪問を重ねるほど前回の話を思い出せない
同じ顧客との商談を重ねると、以前どの回で何を話したかを正確に思い出すのが難しくなります。Otolioが商談の場でお客様から伺った声にも、「何回も訪問していると、前にこの話をしたな、というのがピンと思い出せない」というものがありました。検討期間が長く商談回数が重なるほど、過去のやり取りを振り返る場面も増えます。すべてを記憶だけで追うのは困難です。
ここで効くのが、提案商談向けテンプレートの冒頭にある「前回からの申し送り」です。毎回1行でも書いておけば、記録をさかのぼる起点になります。前回と比べて何が変わったかも、ここに書けば追えます。
複数の商談が続くと、記憶だけでは内容を取り違える可能性が高まります。商談件数が増えるほど、記録を起点にした運用へ切り替えたほうが、情報の抜けを防ぎやすくなります。
商談が終わった時点で記録ができている状態にする
書き方の型ができても、1本ごとの作成に時間がかかるままでは、商談件数が増えたときの負担は残ります。効率化は「速く書く」よりも「書く工程そのものを見直す」方向で考えるほうが、実務に馴染みます。
AI議事録ツールに任せられる範囲
AI議事録ツールには、録音・文字起こし・要約・タイムスタンプ再生などに対応する製品があります。対応範囲は製品やプランによって異なりますが、任せられるのは大きく3つです。
- 音声の録音と自動文字起こし:商談中の会話をそのまま録音し、話し終わったあとに全文の文字起こしができあがる
- 要約・要点の自動抽出:長い文字起こしから、決定事項・次のアクション・顧客の課題などをAIが抽出する
- タイムスタンプによる聞き直し:文字起こしと録音がひも付いており、気になる箇所だけを狙って聞き直せる
この3つが揃うと、商談議事録の作業は「ゼロから書く」から「出てきたものを整えて確定する」に変わります。メモを取る手も空くので、相手の話に集中できます。
製品ごとの違いや選び方を知りたい場合は、【2026】AI議事録ツールおすすめ14選|3つの失敗パターンから逆算する選び方と目的別比較で目的別に整理しています。
録音は商談の冒頭で一言伝える
録音を前提にする場合は、商談の冒頭で録音の目的・記録の閲覧者・保存方法を説明し、相手の了承を得てから録音します。自社と顧客企業それぞれの規定も、事前に確認しておきましょう。
録音を残しておけば、議事録を作成する際に曖昧だった発言を聞き直せるため、記録の抜けや誤解を減らせます。なお、商談中にメモをどう取るか、そもそもメモを取るのは失礼にあたらないかという話は、商談中のメモの取り方で扱っています。この記事で扱うのは、商談が終わったあとに残す記録のほうです。
Otolioの商談での活用
会議業務を自動化するAIエージェント「Otolio」を使うと、商談が終わった時点で記録ができています。録音から文字起こし、要点と次のアクションの整理までをAIが自動で行うため、書き起こす作業から始める必要がありません。
自動化の範囲は、記録づくりの前後にも広がります。商談の前には、Salesforceの商談情報をOtolioに紐付けることで、相手企業ごとの商談シナリオが自動で用意されます。
商談後は、Salesforceへの商談メモの自動登録に加え、AIが提案した商談項目の変更内容と根拠を確認し、ワンクリックで反映できます。「商談議事録を速く書く」という前提そのものが変わる、と言ったほうが近いかもしれません。社内検証では、商談の準備からフォローアップまでの業務時間を平均90%削減しています。
まとめ|商談議事録は次の一手を決める営業資産
商談議事録の値打ちは、きれいに整った書式ではありません。読んだ人が次に何を動かすかを決められるかどうか、その一点にあります。
残す項目に迷ったら、顧客の課題と背景、予算と検討の時期、決裁の流れと関係者、競合と比較の軸、次回の約束と担当・期限という5項目を順に確認してみてください。
このうち、特に抜けを避けたいのが最後の「次回の約束と担当・期限」です。次の約束を「誰が・いつまでに・何をするか」の形で残しておくと、次回までの動きを明確にできます。ただし、顧客の課題や決裁の流れなど、次の提案に必要な情報もあわせて残すことが重要です。
フェーズや共有目的に応じて、厚く書く項目を変えます。初回はヒアリング、提案は比較軸、クロージングは条件を厚くし、社内共有用は判断に必要な要点へ絞ります。この基準を押さえておけば、目的に合うテンプレートを選びやすくなります。
まずは次の商談で、5項目のうち空欄になった欄がどれかを確かめてみてはいかがでしょうか。議事録の書き方を整えても、作成時間が減るとは限りません。録音の確認やSFA・CRMへの転記が必要な運用では、記録を作る工程自体は残るためです。
カレンダーに予定を入れておけば、Web会議には自動で参加して録音します。商談が終わると、要点と次のアクションが整理された状態で手元に届く。Salesforceへの商談メモの登録も自動化でき、商談項目の更新はAIの提案を確認して反映できます。記録の作成や転記にかけていた時間を減らせます。空いた時間は、次の提案を考えることに使えます。
よくある質問とその回答
Q. 商談議事録は顧客にも共有したほうがいい?
商談の直後に、決定事項と次のアクションを中心とした要点版を共有するのがおすすめです。顧客の温度感や自社の見立てといった社内だけで持つ記述は、共有版から外して別に管理します。要点版を渡しておくと「言った・言わない」が減り、次回までの認識合わせも短く済みます。
Q. 商談議事録はいつまでに作成するのが理想?
商談当日のうちに書き上げ、遅くとも社内で決めた期限までに共有するのが理想です。一晩おくだけで、顧客が使った言葉や質問の順番といった細かい情報から先に薄れていきます。文字起こしと要約が自動で済む仕組みがあれば、当日中に整えて共有まで進めやすくなります。
Q. 商談議事録と商談報告書は何が違う?
商談議事録は、商談で確認した事実や合意事項、次のアクションを要点として整理した記録です。誰が何と言ったかを正確にたどりたいときは、録音や文字起こしのほうを見ます。
一方の商談報告書は、議事録の内容をもとに、担当者の見解や社内向けの提案を加えて書く文書です。商談報告書を別に作成する場合は、議事録で事実を整理したうえで、担当者の所見を加えると作成しやすくなります。1つの文書にまとめる場合も、「事実の記録」と「担当者の所見」は明確に分けてください。
Q. フェーズごとにテンプレを変えるのは面倒。1つに統一できない?
すべてを1つに統一すると、初回で使わない項目が空欄のまま残り、かえって読みにくくなります。おすすめは「必須項目は共通・追加項目はフェーズ別」の考え方です。日時・参加者・次のアクションなどの基本項目は共通にし、ヒアリング項目・比較軸・合意条件などをフェーズに応じて追加します。決定事項や未決事項も、商談で出た内容に応じて独立して残してください。
Q. 商談を録音するとき、相手にどう伝えればいい?
商談を録音する場合は、目的・利用範囲・保存方法を説明し、相手の了承を得ます。たとえば「商談内容を正確に記録するため、録音してもよろしいでしょうか。録音データは[閲覧できる部署・担当者]が[利用目的]の範囲で利用し、[保存先・管理方法]で[保存期間]保管します」と、実際の運用に合わせて具体的に伝えましょう。自社と顧客企業それぞれの規定も、事前に確認してください。
