AIエージェント

AIエージェントの課題とは?導入前に知るべき7つのリスクと具体的な対処法

AIエージェントの課題とは

この記事でわかること

  • AIエージェントとは
  • AIエージェントの活用シーン3選
  • AIエージェントを活用するときの7つの課題

「特定のタスクを実行するために設計された人工知能システム」であるAIエージェントが近年注目されています。今まで私たちも日常的に活用してきた生成AIとは違い、ただコンテンツを生成するだけではなく、タスクを実行するAIエージェントは企業の業務プロセスを変革できるとして、その活用方法を多くの企業が模索しています。

ただし、AIエージェントを活用していくためには、AIエージェントにどのような課題が存在するのかを理解しておく必要があります。生成AIの活用を推進するときにも、企業はセキュリティリスクがどういうものなのかと情報収集をしながら活用してきていますが、AIエージェントにも同様に活用前に知っておくべき課題が存在します。

本記事ではAIエージェントを活用するときの7つの課題についてご紹介します。ぜひAIエージェントの活用を検討している方は参考にご覧ください。

AIエージェントとは

AIエージェントとは「特定のタスクを実行するために設計された人工知能システム」を指しています。今までの生成AIと違い、ただ私たちが指示した内容に対してコンテンツを生成するだけではなく、タスクを実行するために自ら判断して動くことが可能になっています。

たとえば顧客の問い合わせに対して、分析だけではなく「最適なアプローチを行う」というゴールをもとに、自動的に対応策を検討・実行させることができます。これによって問い合わせの対応の質を高め、担当者の負担を大幅に削減することが可能になります。

その他にも今までの生成AIと違い、テキストや音声、動画といった複数の情報を同時に扱えたり、AIエージェントが行動して得られた結果を自己評価やフィードバックをもとに改善を繰り返す設計が可能です。

AIエージェントには具体的にどんな特徴があるのかをより詳しく知りたい方は以下の記事で紹介しているので、ぜひ参考にご覧ください。

参考記事:AIエージェントの特徴とは?8つのポイントにわけて解説

AIエージェントの活用シーン3選

特定のタスクを実行することができるAIエージェントはどのようなシーンで活用できるのでしょうか。ここではAIエージェントの活用が期待できるシーンを3つご紹介します。

1. マーケティング

マーケティング活動においてメール配信といった一部の業務の自動化はMA(マーケティングオートメーション)ツールで実現できていました。しかしこの自動化のために私たちは顧客の行動を分析し、スコアリングを設計する必要がありました。

AIエージェントを活用すれば、そもそもの設計自体も自動化することが可能になります。AIエージェントは自ら学び、考えることができるため、自らより最適な設計はないのかと考え、行動に対して得られた結果から常に改善活動を実施してくれます。

今まで手動で行っていたデータ分析やメール配信の手間がなくなるだけではなく、改善活動自体もAIエージェントが代わりに行ってくれるため、人的リソースをより戦略的な業務に集中させることも可能です。

2. カスタマーサポート

カスタマーサポートの活動では、顧客への早い対応やクオリティが重要になりますが、AIエージェントを活用することで実現に向けた取り組みをより効果的に行えます。特に顧客対応が24時間求められるビジネスでは、AIエージェントを活用するメリットが高いとされています。

たとえば、顧客からの問い合わせ内容を自動で分類して応答することが可能です。もちろんすべての問い合わせをAIエージェントのみで解決することは現状難しいため、AIエージェントが自身で解決可能かどうかも判断することができ、もし解決しない場合は別途オペレーターにつなぐことも可能になります。

AIエージェントをカスタマーサポートで活用することで従業員一人ひとりの負荷を軽減しつつ、サポートの品質を安定させることもできるようになります。

3. バックオフィス

バックオフィスの業務では今でも大量の書類処理やデータ入力、問い合わせ対応などの反復的に行われる業務が多く存在します。AIエージェントを活用することで、こうして反復的に行われる業務を自動化することが可能になります。

たとえばAIエージェントが経費管理ツールなどにアクセスできるように、社内規定や過去のデータを参照しながら処理を進めることで、今まで起きていた人的ミスを極力減らし、また迅速に業務を完結させることが可能になります。

バックオフィスの業務は企業の基盤を支えるものであり、従業員の多くが関わる業務である以上、AIエージェントによって実現できる業務効率化のインパクトが大きいと期待されています。

ここでは代表的な活用シーンを3つご紹介しましたが、その他にもどんな活用シーンがあるのか知りたい方は以下の記事で紹介しているので、ぜひ参考にご覧ください。

参考記事:AIエージェントはどう活用できる?8つの活用シーンを紹介

AIエージェント活用時に直面する主な課題と対処法

さきほどAIエージェントの活用シーンを3つご紹介しました。AIエージェントは、業務の自動化や高度な意思決定を実現できる一方で、導入・運用の方法を誤ると大きなリスクを抱えることになります。

ここでは、AIエージェントを実務で活用する際に特に問題になりやすい課題を整理し、それぞれについて背景・リスク・具体的な対処法を掘り下げて解説します。

課題1:セキュリティリスクと情報漏洩の懸念

AIエージェントはタスクを遂行するために、社内の業務データや顧客情報、場合によっては契約情報や人事情報など、機密性の高いデータへ広範囲にアクセスします。そのため、従来の業務システム以上にセキュリティ対策が重要になります。特にクラウド環境や外部サービスと連携する場合、通信経路や認証・認可の設計が甘いと、情報漏洩や不正アクセスのリスクが一気に高まります。

また、AIエージェントは学習モデルやプロンプト、ツール設定の更新が頻繁に発生するため、その都度セキュリティ設定を見直さなければ、新たな脆弱性を生み出してしまう可能性があります。人が直接操作しない分、「どのデータに、いつ、誰(どのエージェント)がアクセスしたのか」を把握しにくい点も課題です。

対処法

  • AIエージェント専用のアカウント・権限を設け、最小権限の原則を徹底する
  • 通信データ・保存データの暗号化や、個人情報のマスキング処理を行う
  • アクセスログを取得・監査し、異常検知の仕組みを整備する
  • モデル更新や設定変更時も含めたセキュリティ運用ルールを標準化する

課題2:倫理・説明責任・透明性の確保

AIエージェントは大量のデータをもとに自律的な判断を行いますが、その判断プロセスは人間から見て分かりづらく、ブラックボックス化しやすいという特性があります。その結果、意図せず差別的・不公平な判断を行ったり、倫理的に問題のあるアウトプットを生成してしまうリスクがあります。特に採用、評価、価格設定、顧客対応など、人に直接影響を与える領域では、この問題が顕在化しやすくなります。

さらに問題なのは、判断そのものに加えて「なぜその結論に至ったのか」を十分に説明できないケースが多い点です。AIエージェントの判断理由を説明できなければ、社内での合意形成が難しくなるだけでなく、顧客や取引先、監査機関からの信頼も損なわれてしまいます。倫理的に正しい判断であっても、説明できなければ企業として責任を果たしたとは言えません。

この課題は、単なる技術の問題ではなく、企業のガバナンスや社会的責任に直結するテーマです。そのため、AIエージェントにすべての判断を委ねるのではなく、人間が関与する設計が不可欠となります。

対処法

  • AIエージェントの利用目的・判断範囲・禁止事項を明文化した倫理ガイドラインを策定する
  • 重要な判断についてはHuman in the Loop(人間の最終確認)を組み込む
  • 判断根拠や前提条件をログとして記録し、後から説明できる状態を保つ
  • 定期的に判断結果をレビューし、倫理的・制度的に問題がないかを検証する

課題3:データ品質の低下とバイアスの影響

AIエージェントのアウトプットの品質は、参照・学習するデータの品質に大きく依存します。データに欠損や誤りがあったり、特定の属性に偏ったデータばかりを使用していると、判断結果も偏ったものになってしまいます。

こうしたバイアスは、本人たちが気づかないうちに意思決定へ影響を与え、マーケティング施策の失敗や顧客満足度の低下、不公平な扱いにつながる可能性があります。また、データの更新が追いついていない場合、現実と乖離した判断を行ってしまうリスクもあります。

対処法

  • データの重複・欠損・形式不統一を定期的にチェックし、クレンジングを行う
  • 特定の属性に偏らないデータ構成を意識する
  • 出力結果を継続的にモニタリングし、偏りや異常を早期に検知・修正する

課題4:技術的な複雑性とシステム連携の難しさ

AIエージェントは、生成AI、検索技術、外部ツール連携など複数の技術要素で構成されることが多く、設計・開発・運用の難易度が高くなりがちです。特に既存のSFAやCRM、業務管理システムなどと連携できなければ、業務全体の効率化にはつながりません。

また、運用開始後もモデルの更新や業務要件の変更に対応する必要があり、継続的な改善体制を整えなければ、エージェントが形骸化してしまう恐れがあります。

対処法

  • 小規模なPoC(概念実証)から始め、段階的に適用範囲を広げる
  • 既存システムとの連携を前提とした設計を行う
  • 社内人材と外部パートナーを組み合わせ、運用体制を構築する

課題5:運用ルール・ガバナンスの未整備

AIエージェントを導入しても、組織としてのルールや責任範囲が曖昧なままでは、誤用や属人化が発生します。また、法規制や業務環境の変化に対応できない場合、リスクが拡大してしまいます。

対処法

  • AIエージェントの利用範囲・責任範囲を明確に定義する
  • フィードバックと改善のプロセスを業務フローに組み込む
  • 定期的にルールやガイドラインを見直す

課題6:費用対効果(ROI)が見えにくい

AIエージェントは導入・運用に一定のコストがかかる一方で、その効果を数値化しにくいという課題があります。効果測定ができないと、社内での合意形成が難しくなります。

対処法

  • 業務削減時間や生産性向上などのKPIを事前に設定する
  • 定量・定性の両面から効果測定を行う
  • 効果が出やすい業務から優先的に導入する

課題7:大量データ処理による誤動作・判断精度の低下(技術的限界)

AIエージェントは大量の情報を扱える点が強みですが、データ量が増えすぎることで、かえって誤動作や判断精度の低下が起こるケースも存在します。特に生成AIをベースにしたエージェントでは、一度に扱える情報量(コンテキスト)に限界があり、重要な情報が埋もれてしまうことで、的外れな判断や指示漏れが発生することがあります。

また、複数のツールやデータソースを横断的に扱う場合、どの情報を優先すべきかをAIエージェントが正しく判断できず、古い情報や関連性の低い情報をもとに行動してしまうこともあります。この現象は、近年では「コンテキストの劣化(Context Rot)」と呼ばれることもあり、AIエージェント特有の技術的課題として注目されています。

対処法

  • 必要なデータだけを段階的に渡す設計にし、一度に扱う情報量を制御する
  • 検索(RAG)や要約処理を活用し、重要情報を絞り込んでから判断させる
  • 定期的にアウトプットの精度を検証し、誤動作が起きやすい条件を把握する

AIエージェントは万能な存在ではありませんが、課題を理解し、適切な対処法を講じることで、業務の生産性や意思決定の質を大きく向上させることができます。

まとめ|AIエージェントを活用するには「課題理解」と「設計・運用」が欠かせない

AIエージェントは、従来の生成AIとは異なり、「特定のタスクを実行する」ことができる点が大きな特長です。マーケティングやカスタマーサポート、バックオフィスなど、さまざまな業務プロセスで活用できる可能性があり、多くの企業が業務変革の手段として注目しています。

一方で、AIエージェントを実務で活用するためには、セキュリティリスク、倫理・説明責任、データ品質、技術的な複雑性、運用ルール、費用対効果、そして大量データ処理による技術的限界といった課題を正しく理解しておくことが欠かせません。これらの課題を十分に検討せずに導入を進めてしまうと、期待した効果が得られないだけでなく、企業にとって新たなリスクを生み出してしまう可能性があります。

重要なのは、AIエージェントを「万能な存在」として捉えるのではなく、課題を前提としたうえで、どの業務に・どの範囲で・どのように使うのかを設計することです。人間が関与すべき判断を明確にし、データや運用ルールを整備しながら段階的に活用を進めることで、AIエージェントは業務の生産性や意思決定の質を大きく高める存在になります。

AIエージェントは、正しく向き合い、適切に設計・運用することで、企業の競争力を高める強力なパートナーとなります。本記事で紹介した課題と対処法を踏まえ、自社にとって最適なAIエージェント活用を検討していきましょう。

この記事を書いた人
Otolio(旧:スマート書記)編集部

エピックベース株式会社が運営する「Otolio」の編集部です。議事録や文字起こし、生成AIやAIエージェントに関するノウハウなど、企業が業務効率化を実現し、さらにはDXを推進するための情報をお届けします。

よくある質問とその回答

Q. AIエージェントは危険ではありませんか?

AIエージェントそのものが危険というわけではありませんが、設計や運用を誤るとリスクが顕在化しやすい技術であることは確かです。特にセキュリティ対策が不十分な状態で機密情報を扱ったり、判断をすべてAIに任せてしまった場合、情報漏洩や不適切な意思決定につながる可能性があります。

一方で、アクセス権限の制御や人間による最終確認、ログ管理などを適切に行えば、リスクを抑えながらAIエージェントのメリットを活かすことが可能です。重要なのは「危険かどうか」ではなく、「どのように使うか」です。

Q. AIエージェントはなぜ誤った判断や誤動作を起こすのですか?

AIエージェントの誤動作は、主にデータの質・量・与え方に起因します。データに偏りがあったり、一度に大量の情報を与えすぎたりすると、重要な情報を見落とし、誤った判断をする可能性が高まります。また、複数のツールやデータソースを同時に扱う場合、情報の優先順位を誤るケースもあります。

こうした問題は、必要な情報を段階的に与える設計や、検索・要約を組み合わせた仕組みによって軽減できます。AIエージェントは万能ではないため、前提条件を整理した上で使うことが重要です。

Q. AIエージェント導入の費用対効果はどのように考えればよいですか?

AIエージェントの費用対効果は、単純なコスト削減だけで判断すると見えにくくなります。導入前に「どの業務を、どの程度効率化したいのか」を明確にし、作業時間削減や意思決定スピード向上など、測定可能なKPIを設定することが重要です。

また、最初から大規模に導入するのではなく、効果が出やすい業務から段階的に適用することで、投資対効果を検証しやすくなります。

関連記事

14日間無料トライアル
または資料請求

料金や導入に関する疑問やご相談など
お気軽にお問い合わせください。

※トライアルは法人または団体として商用のご契約を検討いただける
お客様を対象としております